これまで と これから

海の向こうからおみやげ持ってきた。

冬のカフェメニュー<カフェ・コッレット>

 

冬限定というわけではなくて、冬に飲まれることが多い、というカフェメニュー。

 

カフェ・コッレット Caffe Corretto (直訳で「正しい・正確なカフェ」)
お酒を少し加えて飲むエスプレッソ。

 

エスプレッソ用のデミタスカップだから
腰を落ち着けてのんびりと、というよりは、
バールのカウンターで キュッと飲むもの。

 

グラッパという 北イタリアの山岳地帯の特産酒で作るのが一般的 と
言われているけど、個人の好みでリキュールなどを選んで
入れることもある。

 

私は日本でも冬に、ミルクティにウィスキーやブランデーなどを
入れて飲んだりしていたので、
それのコーヒー版かぁ、と興味を持っていたんだけど、
わざわざそれを頼む機会もなくて、
フィレンツェ生活で3回目の冬を迎えた頃・・・

 

1月の、町なかすべてが煙った白っぽいグレー色に見える寒い午後。

 

午前中にちょっと面倒くさい用事を済ませて
その日はもう他の予定はなかったから、
あとは早く家に帰って暖かく過ごそうと、白い息をもくもくさせながら
冷たい空気を避けるように、うつむき加減に足早にアパートに向かう途中

 

あるバールの前を通り過ぎるとき、急に思いついて、
カッフェコッレットを飲んでみようと バールのドアを開けて入った。

 

正直、顔を刺す空気が冷たくて、
少し温まりたい
っていう気持ちもあったけど。

 

真冬は観光客の数も少なくなるし、冷たい風が吹くような日は、
イタリア人もあまり家から出てこない。

 

お客さんは誰もいなくて、品の良さそうな初老のバリスタさんが
一人で カウンターの中にいた。

 

ブォンジョルノ とお互い挨拶を交わす。

 

寒いですね、と言いながら、
カッフェコッレットを作ってくださいますかと聞いた。

 

もちろんです、なにで作りましょうか?

 

カウンターの向こう、鏡張りの壁際に並ぶボトルたちに目をやると、
グランマルニエの特徴的な形を見つけた。


コアントローをよく紅茶に落としていたのでそっちに馴染みがあったけど、
悩むようなことでもないのですぐに
グランマルニエで と頼んだ。

 

そしたらそのシニョーレは 少し眉を上げて頷きながら
「ブラーヴァ」と一言呟いて、すぐにてきぱきと手を動かし、

 

「クエスト エ ブォーノ(これは美味しいですよ)」
と、私にとっては記念すべき、初めてのカッフェコッレットをつくってくれた。

 

やわらかくオレンジの香りを漂わせる、豊かなコーヒーの匂い。

 

香りを吸い込み、そのままエスプレッソの味を味わい、
そのあと砂糖を入れて、別の味も楽しんだ。

 

香りも、味も、とても美味しかった。

 

量としてはほんの少しなのに、
いつもカッフェを摂ると エネルギーがリチャージされる。

 

アルコールで体もすこし温まった。

 

外の寒さが厳しいほど、その美味しさが深まるような気もした。

 


真冬のイタリアで素早く暖をとりたいとき、
良かったら頼んでみてください。