読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

これまで と これから

海の向こうからおみやげ持ってきた。

どこの日本の話なの

人びと

 

外国人居住者の義務である「滞在許可証」を
取得せずイタリアに住んでいた友達。

 

「申請した証拠の半券はあるから、
ちゃんと最後まで手続きを終えなくても別に問題ない」
との言葉に、
「ちゃんと受け取りに行かなきゃだめだよ・・・」
と忠告した後も2年間、そのまま放置し続けたそうだ。

 

その子の場合、なぜ放置したかと言うと、
そのころイタリア政府は滞在許可証の審査を厳しくしていたから。 

 

書類上何年も語学学校に通っていたり、
美術系などの専門学校でも、本当に通っているかを確認するため
滞在許可証の申請に成績表の提出を義務づけるようにして、
お金と引き換えに嘘の在籍証明書を出している学校と
通っていないのに学生のフリをして 不法滞在している外国人を
あぶり出そうとしていたので、


万一受け取りに行った時に、別の追加書類を言い渡されたり、
許可申請が却下される「直接被害」を避けるため
申請だけして、「念のため」取りにはいかない
という理由だったらしい。

 

その事実は、不法滞在者じゃなくなった後に
「実はあのころ・・・」という昔話で聞かされたので
仲が良かった時期にはそのことを知らなかったんだけど、
私が「この人とはちょっと距離置きたいな」と思ったのは
別の理由だった。

 

2001年か2002年くらいだったと思うけど、
日本人の若い観光客の女の子が、GUCCI本店で
万引きをして捕まったというニュースがあった。 


イタリアの新聞にも書かれたらしい。 


日本人は観光客でも居住者でも、イタリアでは評判の良い、
信頼に足る人たちという評価を保っていたから、
なんて恥ずかしいことをしてくれたんだ!と、
聞いたときは怒りと恥ずかしさと面目なさに動揺した。

 

「ちゃんと服装も良くて、上品そうに見える子だったらしいわよ」
「日本人て真面目で誠実で、そんなことをするなんて
考えられない人たちなのに」
「日本人にもこんな人いるんだね」・・・・・
いろんな意見を聞いた。すごく恥ずかしかった。

 

そのニュースを聞いた日の夕方、その不法滞在友達ともう一人、
日本人の留学生の男の子と3人で
チェーナ(cena 夕食)をする約束があったので、
集まった先で、このニュース聞いた?と切り出した。

 

「恥ずかしいよね、何考えてんだろう」
と私が感想を言うと、不法滞在の友達は
なんでそんなに怒ってるの?とでも言いたげに、
「べつに万引きなんて、みんなやってることだしねー」
と冷静に言った。

 

「だってわざわざ外国に来てやってるんだよ?頭おかしくない?
イタリアに住んでる日本人たちにとってもいい迷惑だよ」


と多少冷静さを欠いていた私が畳み掛けると、今度は


フィレンツェのグッチ本店でやった、ってことが
仲間うちではステータスになるんだよ。
日本に帰ったらその子ぜったい仲間内で尊敬されるよ。
るりはさんも万引きくらいやってたでしょ?
べつにたいしたコトじゃないじゃん」


と言われたので、呆気にとられ、

 

「私は万引きなんてしたことないよ、考えたこともないよ・・・」
とその子のその意見にうろたえながら答えた。


「けっこう小学生くらいからみんな普通にやってたよね?」
と彼女が男子留学生のほうに振ると、
「うん・・・・まぁ、そういうやつもいたかな」
とその子も否定はしなかった。

 

ええええええええーっ?!
うそでしょ? 日本ってそういうとこだっけ?? 
私が知っている日本は違うんだけど??
パラレルワールド???

 

わりと仲良くしていた子だったので、かなりショックだった。
ものの感じ方、考え方が一人ひとり違うのは当たり前のことだけど、
受け入れられるものと受け入れられないものがある。

 

でもこの彼女にはそれまでにも、ん?と思うことが、実はあった。 

 

スーパーへ買い物に行きたいからあなたの自転車を使わせて
と頼まれて、
別にいいよと貸していて、何回目かに
「行くついでにミルク買ってきてくれる?」と頼んだら、
「えーどうして?あとで自分で行けるんじゃない?
近くの店でもミルク売ってるじゃない!でもいいや、
自転車貸してくれなくなると困るから買ってくるよ」
と言われたり、(本当に目の前でコレぜんぶ言われた・・・)

 

彼女の仕事場のイタリア人ボスがよく彼女を
食事に連れていっていたらしいんだけど、
ある日「るりはさんもおいでよ」と誘われて
「でもボスにおいでって言われてないし」と迷ってたら
「るりはさんなら大丈夫、ボスも大歓迎だから。このまえ、
今度彼女も誘おうって話してたんだよ」と言われ、
ノコノコついていったら、
本当に歓迎してもらえて楽しく過ごして、感謝していたところへ、

 

「今度わたしが家にボスを招待して
料理つくってあげることになったから、
食費いっしょに出してくれない?」と頼まれた。


もちろん快く半分の費用だして、
でも料理したのは彼女なので
(私は仕事で夕方まで動けなかった)
そのボスは
費用も料理も全部 彼女一人で用意した と信じ込んでて、
「ありがとう○○子」を何度も何度も言いながら喜び、
彼女は 私も費用だけだけど参加してる、なんてことは
特に何も発言しないまま終了・・・・・ ということなどがあった。

 

それでも、私が狭量なのかな、もっと大らかになるべきなんだろうな、
と思って仲良くはしてたけど、
この 「万引きなんてみんなやってる、大したことない」発言は 強烈だった。

 

その後はあまり頻繁には会わなくなった。

 

会いたいという気持ちに ならなくなってしまった。 

 

もちろんあからさまに距離置くわけにもいかないし、
一緒に居て楽しい人でもあったから時々会うときもあったけど、
他の友達と約束しちゃった、とか、
その日はだめなんだごめんね、と断ったりして、
だんだんと会わなくなっていった。 

 

それから1年半後、彼女から結婚するという連絡が来た。 

 

ロカーレで出会った、日本のゲームの大ファンだという年下の、
素朴で優しいイタリア人の男の子(本人談)と結婚して、
今もまだフィレンツェで幸せに暮らしているらしい。 

 

自分も含め周りの話でも
イタリア人男性と落ち着いた関係になるまでには
色んな目に遭ったり(笑)
いろんな生態を実体験で勉強させられることが多いのだけど
彼女の場合は、
初めて出来たイタリア人の彼氏が真面目で、
仕事もある(←ココ重要)良い人で、
何のトラブルもなく そのまま
彼女の不法滞在の問題解決のために早く結婚しよう、
ということになったそうなので


それまでも、
仕事も住むところも 人に頼んで紹介してもらった♪と
苦労して何かを見つけた話は聞かなかったから
(さいしょ自分のアパート代まで仕事の上司に払ってもらおうと画策してた。
その仕事場の目の前のアパートをボスに見つけてもらって、
そこに住むのは仕事のためなのだから家賃をだせ、という理屈らしかった)


彼女はいったいどんな徳を前世で積んだんだ?


と思ったものでした。

 

彼女にとって 「万引きはみんなやってる普通のこと」 らしいけど、
イタリアでもやっているのかは知らない・・・・・・