読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

これまで と これから

海の向こうからおみやげ持ってきた。

女性のためだけ

 

イタリアの町では、広場などでメルカートと呼ばれる青空市が開かれる。
食料品、服、リネン類、雑貨、食器・・・・ いろいろなお店が並ぶので、
見てるだけでも楽しい。

 

フィレンツェでは、チェントロと呼ばれる中心地に複数ある
常設のメルカート以外に、
火曜日の午前中、アルノ川沿い1~2kmに亘ってお店が立ち並ぶ
メルカート ディ カッシーネ (Mercato di Cascine) という青空市がある。

 

時間がある時は散歩がてらよく行っていたんだけど
ある時このメルカート
ビール腹でニコニコしたおじさんが店主らしい、
大きなダンボール箱4箱くらいのなかに
女性用の下着 上下それぞれが別々に入れられてて 
「ひとつ1ユーロ」 と書かれていたお店があった。

 

イタリアの女性用下着はデザインもきれいだし、つけやすいし
こちらへ来て初めて使ってみたら 大好きになったので
「どんなのがあるのかな」 と箱のなかを覗いてみた。

 

他にも3~4人、若い女の子やシニョーラたちが
手をつっこんで、引き出しては見て、をやっていた。
私は自分のサイズに合う 薄紫色のきれいなレースの下着を見つけて
上下が揃うなら買いたいな と
もうひとつの箱のほうへ移動して探し始めた。

 

皆それぞれが 気に入ったデザインの下着を2~3 片手に握って、
自分のサイズの そのペアの片割れを見つけようと
必死に箱のなかをあさってる感じ。

 

そこへ 新たに通りがかったシニョーラが、
通行人たちに向かって ニコニコしながら
「さーあ、下着が安いよ~。ひとつたったの1ユーロだよ~。」
と大きな声で、歌うように客引きをしているお店のおじさんに、
「ソロ ペル レ ドンネ?」 と聞いた。

 

Solo per le donne は 語順もそのまま、 only for the women という意味。

 

そのシニョーラは
「女性用のしかないの?」
という意味でそう聞いたんだけど、 おじさんはそれ聞いたとたん


「シィ、シニョーラ、ソロペルレドンネ 
(ええ、シニョーラ、女性用だけですよ)」 の答えに続けて

 

「ソロペルレドンネ~ ソロペルレドンネ~ 
イオー、ラヴォーロー、ソロペルレドンネ~♪」 と、
即興の歌(たぶん)を歌い始めた。

 

「女のためだけ~ 女のためだけ~ 
オレはー 女のためにしかー、働かなーい~♪」

 

私はそれ聴いてぷるぷる身体が震えちゃって。
別に笑いをこらえなくちゃいけないわけでもなかったんだろうけど
なんか、こらえてしまったので。

 

イタリア人だなあー と可笑しくなっちゃった。

 

やがてペアのデザインの上下を見つけ出した私は、
「これください」 とおじさんに差し出した。


おじさんは
「よし、見つけたか! ブラーヴァ!(エライぞ) 
ウンポディパツィエンツァ、ヴェーロ?
(ちょっとがんばれば見つかるよな、そうだろ?)」 と
ニコニコしながら袋に入れてくれて、
お金を受け取ると
「ブォナジョルナータ!(良い一日を)」と言ってくれた。

 

きれいな色の新しい下着、
おじさんの歌、おじさんのにこにこ顔、
知らない人同士でも笑顔で交わす挨拶・・・・


なんだか楽しくてハッピーな気分になって初夏の朝のメルカートめぐりを続けた。

 

こんな出来事に出会えるから、イタリア生活は楽しかった。

 


勉強してる人へ: 

Io lavoro (「私」が働く。イタリア語は主語によって動詞の活用形が変わる)



Brava(ブラーヴァ 女性に言うとき) Bravo(ブラーヴォ 男性に言うとき) 
男女混合はBraviブラーヴィ、 とオペラの舞台などへ叫ぶ。

 

Un po’ di pazienza (ウンポ un pocoの省略形 は「少しの」、 
ディは英語で言うとof、 パツィエンツァは忍耐=英語のpatient)

 

Vero (ヴェーロ 本当の・真実の。
日常会話の中で「本当?」と聞く時は
「エ ヴェーロ?(e’ vero?)」か「ダッヴェーロ?Davvero?」
自分の意見を言ったあと、最後に「だよな?」「そうだよね?」 と
同意を得たい時に言うのがシンプルな「ヴェーロ?」)

 

Buona giornata! (ブォナジョルナータ! 
会って「ボンジョルノ」と挨拶したあと
少し立ち話したら、別れる時は「じゃあね」の意味でこっちを言う。
フランス語でも同じシチュエーションで ボンジュールと挨拶したあと、
別れる時はボンジョルネというけど、それと一緒。 習慣的な決まり文句。)

 

Mercato(マーケットのこと。市場、市。
ドイツ語のマルクト、フランス語のマルシェ、イタリア語だとメルカート)