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これまで と これから

海の向こうからおみやげ持ってきた。

自分の肩の温度

 

ハグの習慣のない日本人だから ってだけじゃ なかったと思う。

 

ある夜
立ったまま 抱きしめ合ったとき、
自分の身体が こんなにも
冷えた、冷たいものだったってことに
初めて気づかされた。

 

あの人の手のひらから、
腕の内側から、
胸から 頬から 唇から
じんわりと 包み込むように
温かさが、肌から沁み込んでくる。

 

その温かさと 私の身体の冷たさの温度差が
なかなか埋まらなくて
だから、
私の肩は冷たかったんだな って。

 

こんな明確な物理現象でさえ、
直接 自分以外の人肌との接触がなければ わからなかった。
知ることすらなかった。

 

直接ことばで伝え
直接からだに触れて
ここに、物体として存在してることを お互いに確かめ合う

 

そんな 「人と人が向き合う」 機会は たしかに、
日本よりも、外国の方が多かった。

 

わたしはイタリアで暮らして初めて
じぶんの人生を やっと始めることが出来た と感じてる。
実体を伴った わたしという存在を初めて、
「じぶん自身で」 感じることができた。

 

だから イタリアには感謝してる。
明るい笑顔を正面から投げかけてくれ、
つたないイタリア語なのに
知らない外国人なのに
じっと 視線を反らさずに 集中して
全身で 「解ろう」 として聞いてくれた、あの人たちに。

 

そうやって私を見つめ、
耳を傾けてくれる人の姿を 目の前で見たから
わたしっていう人間が ここにいま 
物理的に存在してるんだ ってことを、
確認することができた。

 

実感することができた。

 

子供の頃から、いまいちよく分からなかったんだ
じぶんていう人間が、本当に存在するのかどうか。

 

そういう時にどうすれば良いか なんて 何も知らなかった私が
たまたま外国で 自分用の解決策を見つけただけで
「だからみんなもこうすると良いよ」 なんて 
言えるわけなんてないけれど

 

わたしは今 またあの頃と同じ不安を感じたら
自分の肩を 手のひらで 包み込んでみることを覚えた。

 

自分の手のひらの温かさを 冷たい肩が感じたら、
ここにいるよ、ちゃんとあるよ ってコトだ。

 

おまえは この世に存在してる
だから、感情を持ってて良いんだよ。
感情があるんだから、 泣くのも 笑うのも あたりまえだ。
怒ったっていいんだよ。

 

ほんとにバカみたいなんだけど
私は イタリアでそれに気づかせてもらえなかったら
たぶん今でも 
ちゃんと生きてるのかどうか 自分でもわからずに
ただ毎日 呼吸だけを 繰り返していたかもしれない。

 

人を 人たらしめる「愛」は
空気みたいに、あたりまえに
どこにでもあるし 
誰にだって
モノにだって、向けられるし
そんなものは私には関わりがない と信じ込んでた自分にだって
誰か他の人から 向けられることだってある。

 

人って反射板にもなる。
愛ってもんは 大げさなものじゃなかった。
もっとこう、たいそうなモノなのかと思ってたけど

 

ただ その人に目線を向けて、軽く微笑む程度でも
それは愛情の表現なんだね。

 

そんな風に 人からされて 
同じように 人にもすることで 
私も「それ」を 持っていたのだと知った。

 

家族からもそんなこと、教えてもらったことなんてなかった。

 

微笑みかけられたら
やっぱり、自然に微笑み返してしまうよ。

 

外国人の私でも まるで当たり前の様に 
その輪のなかに 迎え入れてくれてた。
ごく自然に。

 

イタリアは、そこらじゅう 愛の反射板だらけで
私の目には 街中が すごく眩しく見えた。

 

もし あのころの私みたいに
自分の実在に 不安を感じている人がいたら、
自分の両肩を 両手で包み込んでみて。

 

手に感じる冷たさが、あなたの孤独の温度で
肩に感じる温かさが、あなたが持ってる愛の温度。

 

あなたはそこにちゃんと居る。
その確かな存在を
親よりも、恋人よりも
誰よりもまず
あなた自身が あなたを愛してあげてね。

 

やさしく撫でてあげて、
抱きしめてあげて。

 

だって

 

少しは愛のある行為に慣れておかないと
いつか じっさいに他人(ひと)と抱き合おうとするとき
不慣れすぎて 
逃げ出したくなったりするから。
びっくりして
なぜか分からないけど 
怖くて 不安で 
瞬間的にだけど
強烈にキモチワルクて
相手を突き飛ばしてしまいたくなっちゃうかも知れないから。
(耐えたけど  笑)

 

その人がわかってくれそうな人なら
ちゃんと 話しておくと良いと思うよ
私も知らなかったけど 
こういうのって 身体のケガと一緒で
けっこう、リハビリの時間が必要だったりもするみたいだから・・・・・