これまで と これから

海の向こうからおみやげ持ってきた。

草木の名前を名乗る文化

 

イタリアへ留学する前 ほんの少しだけ
古武術の手ほどきを受けたことがある。

 

もう出発することは決まっていたので、
短期間の習い事なんて 考えもしなかったんだけど

 

ある神社で その古武術が奉納されるイベント(←神事です)を知り
友達を誘って観に行ったら
その子が その武術に一目惚れして
いきなりその場で 
「習いたい!」 と言い出し
「ひとりじゃ不安。 お願い、最初だけでいいから一緒に通って~!!」
と泣きつくものだから

 

彼女が 弟子入り(?)を直談判しに行った場で
私も
「こういう事情なのですが、ぜひ数ヵ月だけでも
学ばせていただけないでしょうか?
数ヵ月でおいとますることは
失礼にあたらないでしょうか?」

 

とお聞きしてみたら

 

「構いませんよ」 
という寛大なお返事を下さったので 
(却ってびっくりしました・・・)

 

お言葉に甘えて 私も通わせていただくことになった。

 

でも 嬉しくて、ワクワクした。

 

とつぜん突拍子もないことを言い出した友達には驚かされたけど、
巻き込んでくれたおかげで 
このような機会を持つことが出来て すごく感謝もした。

 

自分一人では 
その習い事を何年も 本気でやろう
と決心しない限り、
習わせて戴こう なんて、思いつかないもの。

 

早速 言われた通り
練習のために 足袋を購入し、
武術といっても
立つ、座る、歩く ことから、先ず教えて下さった。

 

兄弟子の方々は 
ことさら親身にでも 冷淡にでもなく
けれど 新米の私たちが 動き等を
間違って覚えてしまわないよう 
そういうところはしっかりと見てくださっていて 
必要に応じて 注意したり 細かく教えてくださったりした。

 

その武術では 個人で使う道具を持たれる方もいるのだけど
練習に ご自身の道具を持ち込んでいらした兄弟子のかたに
ある日 とつぜん

 

「なぜ道具袋に 自分の名前ではなく、
このように 草木の名前を記しているのか、解りますか?」
と質問された。

 

見ると、その方の道具袋には、
ご本人の苗字でも 下のお名前でもなく、
ある花の名前が刺繍されてあった。

 

「わかりません・・・・ 
ご家紋の意匠が、そのお花なんですか?」 

 

そうお聞きすると、
その初老の兄弟子の方は、こう教えて下さった。

 

「いいえ、これは単に 私の好きな花なんです。
じぶんの本名を、誰にでも見られるところには書きません。
昔からそうだったんですよ。
もし 本名をさらしてしまったら、
呪いをかけられたり、
住んでいるところを 知られたりします。
時に命をやりとりすることもある
武道を修めようとする者は 
だから 
自分が どこの何某かがわからないように
こういう場合には、銘として 植物の名まえを記したんです」

 

弟たちが子供の頃 剣道を習っていたけど、
竹刀袋などの道具には 
普通に 苗字が縫い取りされていた。

 

子供と大人は違うし、
その武術も 剣道とは違うけど、
このかたたちは そういったところまで 
昔のしきたりに従って、
本当に 伝統を守りながら鍛錬されているんだな・・・・ と
この兄弟子の皆さんがたに 深く感嘆した。 

 

本名を知られないようにする理由についても、
そのとき初めて聞いたので 
すごく興味深い と思った。

 

武術を鍛錬する男性なら、
龍だの 虎だの 
強さを暗示するようなものを銘にしてもいいものを

 

風にそよぐ 何気ない草木の名まえを
銘にするのが伝統なのだ と 
あらためて聞かされると

 

あぁ そうだった、 
ここはそういう文化の国だった・・・・
と 
ひそやかな自負心と共に、 
懐かしく
慕わしく 
自分の帰属する日本文化を想う。

 

そのとき聞かせて戴いたこのお話が 
それ以来 ずっと頭に残っているから

 

それに影響されて

 

渡伊するにあたり
日本の友人たちとの連絡用に
初めてEメールアドレスを 自分で設定したときも
自分の名前をそのまま使おう とは思わなかったし

 

数年前から 知り合う人ごとに必ず聞かれるけど
本名で作らなければならないFacebookのアカウントは 
最初から、
何となく とる気になれずにいた。

 

だって FBは
本名どころか それ以上の 
いろんな個人情報入力の項目があると聞いたので
「友達でもないザッカーバーグ
なんでそこまで教えてあげなくちゃならないのよ?」 
みたいな反感が(笑)

 

そのうち作るから、と言って逃げてたら
連絡するのが面倒くさいんだよね という
周りからのプレッシャーが どんどん大きくなって
苦しい立場に追い込まれたりしております (;_;)

 

考えすぎで 思い違いだってのは わかってるし
ほんとうは 大きくなるのは 
危険よりも
自分の 日常レベルの世界(の境界線) 
なんですよね、きっと。
うん・・・・・

 

ザッカーバーグさん、
「こでまり」とか「八重桜」とかの銘じゃだめですか・・・・
その花、かわいくて好きなんで・・・・
(往生際が悪い★)